2019/06/10
広告
この記事の目次
2017年は風力発電元年になるか?!
ここのところ風力発電についての広告をよく見るようになりました。
つい最近まで認定済の風力発電システムそのものがほとんどなったのが冗談のようです。
ということで、あらためて
20kW未満の小型風力発電についてメリットとデメリットをまとめてみました。
小型風力発電とは
ここで言う小型風力発電とは発電能力が20kW未満の風力発電を言います。
なぜ20kW未満かと言うと、発電電力の固定買取価格(FIT)が20kWを境にかわるからです。
はじめに小型風力発電のメリット/デメリットをまとめてみます。
小型風力発電のメリット
- 売電の固定買取価格(FIT)が55円と高額
- 固定買取価格(FIT)で20年間で買い取ってもらえる
- 風が吹けば24時間発電可能なため運用効率が高い
- 「とりあえず申請だけしておく」でもOK
- これから用地確保しても間に合う
風力発電のデメリット
- 発電量予測の正確性に欠けるためビジネスとして収益性試算が難しい
- 必要なメンテナンス内容が不明瞭
- 風力発電システムのメンテナンスを行える会社が限られる
- 近隣住民との騒音/低周波のトラブルの懸念
小型風力発電の5つのメリット
小型風力発電の5つのメリットについて順に説明します。
固定買取価格(FIT)が55円と高額
小型風力発電のFITの固定買取価格は55円/kWhと高額です。
2017年の産業用の太陽光発電の買取価格は21円/kWhですので、なんと2倍以上の価格になります。
なんといってもこの価格が風力発電の一番の魅力です。
固定買取価格(FIT)で20年間買い取ってもらえる
再生可エネルギー普及のためのFIT制度によって固定買取価格での20年間の買取が保証されています。
こちらについては産業用の太陽光発電と同様です。
通常のビジネスで必ず発生する需要と供給に絡む値下げリスクを考える必要がないということですので、ビジネス視点で大きなメリットです。
固定買取価格についての詳細はこちらの資源エネルギー庁の「再生可能エネルギーの固定価格買取制度ガイドブック」パンフレットをご確認ください。
風が吹けば24時間発電可能なため運用効率が高い
風力発電は風さえ吹けば24時間発電できますので太陽光発電の比べて運用効率が高いのが特徴です。
発電効率も高く、年間の発電量でいえば「20kW」級の風力発電が「50kW」級の太陽光発電に相当するようです。
(もちろん実際には条件によって大きく異なります。)
「とりあえず申請だけしておく」でもOK
風力発電は太陽光発電と違い「55円権利確保のためとりあえず申請だけしておく」がまだ許容されています。
太陽光発電は、「電力会社との連携承諾(=連携費用確定)」後にその時点での固定買取価格が適用されます。
対して風力発電の場合、「経済産業省への設備認定申請」時点での固定買取価格が適用されます。
なお、これは風力発電施設を作るためには、現地調査に長い時間がかかるための措置です。
私が風力発電の導入について相談した際には
「まずは申請をしておき、風力計を設置して風力発電に適するかどうかの調査をしましょう」
との回答をいただきました。
このように風力発電については現地調査に時間がかかるための措置と考えてください。
これから用地確保しても間に合う
「とりあえず申請だけしておく」がOKですので、もちろんこれから風力発電用の用地探しをしても十分間に合います。
太陽光発電ブームに影響で、すでに太陽光発電の適地を探すのは難しい状況ですが、風力発電では太陽光発電とは適地が異なっていますので、これから用地を探すことも可能です。
個人的には「太陽光発電所の北端に風力発電所を建てられないものか」と考えているのですが・・・。
小型風力発電のデメリット
つづいて小型風力発電の4つのデメリットについて説明します。
発電量予測の正確性に欠けるためビジネスとして収益性試算が難しい
発電量予測のための風量データは精度が低い(メッシュが荒い)ため、風力発電の建設候補地の風力が、本当にどれくらいなのかがわかりません。
そのため発電量=収入の正確性に欠けるというデメリットがあります。
これに関しては、前述のように風力計を実際に設置して調べるのが、間違いないようです。
必要なメンテナンス内容が不明瞭
小型風力発電については、日本国内で実施されている例がまだほとんどありません。
従ってどのようなメンテナンスを行う必要があるのか、そのメンテナンス費用がどの程度かかるかが不明瞭です。
当然ですが、販売会社の言葉を鵜呑みにしてはいけません。
本来では販売側の関係者以外からの情報を集めたいところですが、前述のようにまだあまり情報ありませんので、
最低でも複数の販売会社/風力発電システム製造会社の話を聞いて裏を取りましょう。
風力発電システムのメンテナンスを行える会社が限られる
また風力発電システムのメンテナンスを行える会社がほとんどないのが課題です。
基本として「販売会社/風力発電システム製造会社しか選択肢がない」のが実情かと思います。
そうなると会社の信用(20年間しっかりとメンテナンスを行っていただけるか)が重要になります。
とは言え、風力発電の保険も登場し、今後はある程度は保険でカバーできるようになると想定します。
近隣住民との騒音/低周波のトラブルの懸念
こちらは大型風力発電で問題になっています。
近隣住民との低周波や相応によるトラブルの懸念です。
こちらについてはパワコンの騒音や反射光の懸念がありますので、太陽光とさほど変わらないのかもしれません。
いずれにせよ住宅地につくるのはNGですね。
まとめ
小型風力発電の5つのメリットと4つのデメリットについてまとめてみました。
風力発電は「これから」のビジネスになります。
導入を検討されている方は、十分にメリット/デメリットを検証を行いましょう。
土地付き分譲太陽光発電の大手タイナビも風力発電に参入し、ますます風力発電の利回りが向上しているようです。
分譲風力の動向についてはこちらの記事をご覧ください。
コメント
もう一つありますよ。
まともな風力発電メーカーがないということです。
大半が輸入で、実績がある海外製であっても日本の気候には合わない機種が多すぎです。
某西風なんかは値段が論外ですしね。
(公共にボッタクリ値で売って成り立ってたメーカーが
日本の小型風車のトップメーカーである時点で
日本の風力発電の厳しさがわかります。)
by 匿名希望=通りすがり(鬼) 2016年5月25日 10:35 AM
通りすがり(鬼)さん
その視点は無かったですね~。
風力は海辺に作るのが基本だと思いますので、高温多湿や塩害にたいする対策はそれなりにしているのだと思っていました。
たしかに風力は太陽光パネルみたいに大量量産できるものではないので、あまりメーカーの数も増えないのでしょうね。
でも展示会ではちらほらみられるようになりましたので、これから数が増えてくることを期待します!
by あおそら 2016年5月26日 9:55 PM